科研費 特別推進研究 2017 - 2022

統合観測システムで解き明かす乱流プラズマの構造形成原理と機能発現機構
- PLATO project -

九州大学 応用力学研究所

研究内容

研究の概要

プラズマ乱流統合観測を中心とした理論シミュレーションとの統合研究

自然界において観測にかかる対象の99%はプラズマ状態にあると言われているように、プラズマは自然界の至る所に存在します。 そのプラズマの構造やダイナミクスを決定しているのが乱流です。 特に、核融合を目指したプラズマの磁場閉じ込めの研究では乱流は特性を決めるものとして半世紀以上にわたって国際的に研究されてきました。 その結果、今、プラズマ乱流の新しい見方が提案され革新的な時代を迎えています。 それは、乱流プラズマ中に存在するスケールの違った揺らぎの結合が大域相関を生み局所的な揺らぎを同調させ、プラズマの特性を決めているとするものです。 本研究の目的は、このパラダイムに基づいて、乱流プラズマの本質に迫り、その構造形成や機能発現の原理を解明することです。

期待される成果と意義

トーラス型の磁場は自然界に普遍的に現れる構造で、その中に閉じ込められた乱流プラズマの研究は自然界で起こる諸処の現象の本質的理解に重要です。 例えば、太陽内部の速度不連続面、アクリーションディスク周りの輸送、ダイナモ磁場生成機構などの理解にも大きく貢献できます。 さらに、非平衡非線形系において揺らぎが構造を形成し機能を発現することは物理、科学、生物、社会科学など広い分野の共通課題です。 本課題は、自然認識の柱「究極の物質」と相補的な「万物流転の法則」を探求することで、核融合など技術応用の基礎を与える遠非平衡系物理学として多くの分野に波及効果をもつ意義のある研究です。